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井上和彦さんインタビュー

第121弾

2025年 6月号

20年前の手紙の巻

20年前の手紙の巻

この号の
読み聞かせ役

井上和彦さん
(いのうえかずひこ)さん

1973年のデビュー以来、声優・歌手・俳優として多彩に活躍! アニメ代表作に『夏目友人帳』(TX)ニャンコ先生・斑役、『NARUTO-ナルト-疾風伝』(TX)はたけカカシ役、『美味しんぼ』(NTV)山岡士郎役など。吹替や舞台でも精力的に活動中です。

井上和彦さん
  • Q

    Q

    『森の戦士ボノロン』はご存知でしたか?

    A

    A

    これまでにたくさんの声優さんが出演されているので注目していました。昨日も、以前(2020年の15周年企画にて)『よっぱらいのゴンの巻』を読み聞かせされていた森川智之さんと仕事をしていて、ボノロン読み聞かせの話題になりました。やっと自分にも出番が来た、という気持ちです。

  • Q

    Q

    『20年前の手紙の巻』はいかがでしたか?

    A

    A

    大人も子どもも、だれが読んでも心に染み込んでくる、いいお話でした。小さな子どもたちにも、このよさが伝わるといいなと思いながら、語りかけるような気持ちで読みました。

  • Q

    Q

    これまでに読み聞かせをされることはありましたか?

    A

    A

    東日本大震災の直後、声優仲間といっしょに陸前高田にボランティアに行きました。心苦しいことに、そこにいた子どもたちは笑顔を失っていたんです。そこで、たまたま置いてあった絵本を、仲間と1ページずつ交代で読みました。すると、読み聞かせの一言一句に子どもたちが笑ってくれたのです。人の声は心を癒す力があることを実感しました。この経験が忘れられず、今でも、読み聞かせに限らず日本各地や海外でもチャリティライブを行なっています。僕らにできることで、人が喜ぶことは続けていきたいと思っています。

  • Q

    Q

    読み聞かせる上で、気をつけていることはありますか?

    A

    A

    アニメや吹替は、相手役のキャラクターに向かって話しますが、朗読や読み聞かせは、聞いてくれる人にお話を届けるのが目的です。ひとりで語る時は、キャラクターの表現を大袈裟にしないことを心がけています。大きな声は聞き手の方が驚いてしまうので、物語に集中できるようになるべく声のボリュームを一定にしています。

  • Q

    Q

    子どもの頃に読んだ絵本の記憶はありますか?

    A

    A

    僕が小さい頃は、公園に紙芝居のおじさんがよく来ていたんです。続きは翌日に持ち越されるので、毎日通っていました。もうどんなお話だったかは忘れてしまいましたが、お話の世界に入り込む時間が好きで、夢中になって聞いていました。

  • Q

    Q

    もしボノロンが目の前にあらわれたら、どんなお願いをしますか?

    A

    A

    できることなら、過去に行って声の仕事を始めた20才の自分に、「まじめにお芝居しなさい」と言いたいですね(笑)。当時はどこか空回りしていて、「お芝居って何だろう?」という問いにしっかり向き合えていなかった気がします。
    50年以上この仕事を続けてきて、ようやく少しだけ「ここまで来たか」と思えるようになりましたが、それでも「人より20年遅れている」と感じています。だからこそ、20才の自分に「もっとしっかりやりなよ」と伝えたくなるのでしょうね。
    ただ、ありがたいことに、周りにはとても前向きな人たちがいて、その影響をたくさん受けました。まだ明確な目標がない中で、周囲の姿勢や熱量に引っ張られるようにして歩んできた部分が大きかったと思います。もっと早く、自分なりの芝居の意味を見つけられていたら……なんて思うこともありますが、こうして今、振り返りながら話せることがあるというのは、きっとしあわせなことですね。

公開中のえほん 声優さんインタビュー

  • No.120 2025年4月号

    友だちの赤いマフラーの巻

    むかしむかし−−−−
    さむい冬のある日、少年のダイがなにかを探しています。
    友だちのルテがかしてくれた赤いマフラーをなくしてしまったのです。
    しかしマフラーは見つからず、あやまりに行ったダイに、いつもやさしいルテははげしくおこります。
    ダイが巨木の下で涙をながすと、ボノロンがあらわれます。ボノロンは、マフラーをさがし、そして、ルテがおこった理由をいっしょに考えます−−−−

    田村睦心さん

    読み聞かせ役

    田村睦心さん

    たむらむつみさん

  • No.119 2025年2月号

    コボ村の名人たちの巻

    むかしむかし−−−−
    モミの巨木の下で少年のノバが笛をふいていました。
    若いのに笛が上手だとひょうばんで、動物たちもその音色によろこんでいますが、ノバは涙を流します。
    自信がもてないノバは、あらわれたボノロンに、この性格をなおしてほしいと願います。
    むずかしい願いに、ボノロンはある村にノバをつれていくことにします−−−−

    宮田幸季さん

    読み聞かせ役

    宮田幸季さん

    みやたこうきさん

  • No.118 2024年12月号

    湖におちた首かざりの巻

    むかしむかし−−−−
    セコイアの巨木が立つ湖のほとりで、やせっぽちのゴナが泣いていました。王女様が湖におとした首かざりをひろった者にほうびを出すと、王様がおふれを出したのです。
    まずしい家族のためにひろいにいきたいゴナですが、自分には力がたりないとなげきます。
    そんなゴナにボノロンは、大きなふくろを渡します。はたしてその中身は−−−−

    西山宏太朗さん

    読み聞かせ役

    西山宏太朗さん

    にしやまこうたろうさん