ウェブえほん
下田麻美さんインタビュー
第106弾
2022年 12月号
ジペンと雪の精の巻

この号の
読み聞かせ役
下田麻美さん
(しもだあさみ)さん
「THE IDOLM@STER」の双海亜美・真美役や、『進撃の巨人』のナナバ役の声をはじめ、アニメ・ゲームなど数々の人気作品に出演している声優さんです。

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すてきな読み聞かせをありがとうございました。『ジペンと雪の精の巻』はいかがでしたか?
そうですね。このお話は「壮大な恋愛物語」だなという風に受け止めました。ジペンくんにとってエリカちゃんは唯一の友だちでしたが、恋をしていたんでしょうね。その想いが、普通は歳とともになくなったり、薄くなってしまうものですが、雪の精に出会ってからも、ずっと絵を描いていても、いつの頃からか、一緒に歳を重ねたエリカちゃんが隣にいて。 ……ああ、ずっとジペンくんは、一途にエリカちゃんに今も恋をし続けているんだなあと。その気持ちに自分で気づいているのかな? というぐらい、深い恋をしているんだなというのが、とてもロマンティックで。子どもに読み聞かせをするものではあるんですけど、大人でもすごく胸がときめいてしまうようなお話でした。
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たしかに、一生をかけた恋愛物語ですね。
そしてボノロンが最後に「美しいものを見た感動は苦しさを忘れさせて、人の心を前に進める」って教えてくれるじゃないですか。これも、きっとこう読み聞かせてもらっている小さい子にはまだわからないんだけど、この言葉がその心に残っていたら、成長していく過程だったり、大人になった時に、このフレーズを本当に思い出してほしいなって。 目の前にある美しいもの。景色だけじゃなく、友だちと過ごす時間だったり、自分が努力していく過程の美しさだったり、そういう心の中に美しくうつるものを胸に成長していってもらえたらいいなと感じました。深く考えさせられる言葉があって、大人の人にもささったらいいなと思いました。
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とても深く読み込んでいただき、ありがとうございます。ちなみに『森の戦士ボノロン』はご存知でしたか?
すみません、今回初めて知ったんです。いつもコンビニに行くと目的に向かってまっすぐ行ってしまうタイプで…。でも今回このような機会をいただけたことで、知れてよかったと思っています。これが無料でいいのかと思うようなクオリティの高さにびっくりしました。実は個人的に『北斗の拳』が大好きで。原先生のプロデュースされている絵本ということを知り、ものすごくテンションが上がりました(笑)。
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下田さんご自身の絵本に関する思い出などありますか?
自分が小さい頃の絵本の記憶はあまりないんですが、今、ちょうど子育てしていまして。子どもは1歳なのですが、私は子どもが欲しかったので、もし授かったら、妊娠中から胎教というか、おなかに向かって絵本を読んであげたいな、という夢があったんですね。実際に妊娠してから、最初に読んであげる本に選んだのが『みんなであなたをまっていた』という本でした。うさぎの家族がみんなで、うまれてくる赤ちゃんを楽しみに待つお話なんですが、読んでいて本当に心が温まる内容で。自分もそういう気持ちで準備をしてきたので、子どもが大きくなったら、「こういう気持ちであなたのこと待っていたのよ」と読んであげたいですね。
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それはすてきですね。
実際うまれてから、最初に興味を持ってくれたのは『もいもい』という絵本でした。赤ちゃん向けにかかれた絵本で、いまだにどう読み聞かせればいいのかわからないんです。試行錯誤の連続で、表現者としては、勉強になったというか、試された絵本ですね(笑)。今は『だるまさんシリーズ』が好きで、おもしろい擬音が出てくるので、それをいろいろな読み方をしてみたり、ずっこけた雰囲気を出してみたりすると、プッと吹き出す感じで笑ってくれたりするので、手応えを感じております(笑)。
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読み聞かせと普段の声のお仕事で違うことはありますか?
そうですね、やっぱり一番は目の前に子供がいることを想像して読むということかなと思います。どうやれば集中してくれるかな、想像しやすくなるかな、と手助けをしながら、あくまでも大まかに想像していくのは子どもたちの役目というところは気をつけましたね。
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では、最後の質問です。ボノロンが目の前に現れたら、どんな願いごとをされますか?
私、子どもがうまれる前から犬を飼っているんですが、子どもがうまれてから、それまで自分に注いでもらっていた愛情が子どもに行ってしまっている分、犬としてはちょっと寂しいんだろうなと感じる部分があって……。そのあたりを実際どうなのか聞いてみたいです。その上で「何をして欲しい?」って、願いを聞いて叶えてあげたいですね!
公開中のえほん と 声優さんインタビュー
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No.107 2023年2月号
王様と料理人の巻
むかしむかし―――
海沿いの村の料理人・ボズの店に、王様がやってきました。
ボズの料理を食べた王様は「こんなまずい料理ははじめてだ!」と怒り、7日後にもう一度料理を作るよう命じます。
ボズは、あらわれたボノロンに「王様が好きな料理を教えてくれ」と願いますが……? -
No.106 2022年12月号
ジペンと雪の精の巻
むかしむかし――――
雪原に立つ巨木の枝の上で、少年のジペンが泣いていました。たいせつな友達のエリカがひっこしていなくなってしまったのです。人生にすっかりぜつぼうしたジペンは、あらわれたボノロンに「おとなになりたくない!」と願います。そんなジペンに、ボノロンは「よくきくおくすりがある」と伝えます。 -
No.105 2022年10月号
ちえと勇気の巻
むかしむかし――――
やけこげた巨木の根もとで、やせっぽっちの少年が泣いていました。少年の名前はポキ。バケモンのバグーに弟をさらわれてしまったのです。「ボクにもっと力があれば……」そう言って涙を流すポキの前にボノロンがあらわれます。じじょうを聞いたボノロンたちは弟を助けに向かいますが、バグーはとってもようじんぶかくて……!?